全日本家庭教育研究会

平成３０年４月

 

学年で習う漢字を…

「学習指導要領」が改訂され、小学校では平成3２年度から全面実施されます。それに移行する期間の2年間がこの4月から始まりました。今回の改訂では、学校で習う漢字の「学年別漢字配当表」も新しくなりました。平成元年改訂以来の変更です。この機会に、長い期間を見通して漢字学習の方針を立ててみましょう。

日本の漢字の数は、国内最大の収録数の大漢和辞典（大修館書店）で約5万字です。その中で、小学校で習うのは1,006字から今回1,026字になりました。これらの漢字を小学校1年生から学年別に割り振って学習していきます。その割り振り表を「学年別漢字配当表」といい、教科書に載っています。

小学校1年生では、習う漢字は少なく、「一、二、三、十」などの簡単なものから、次第に、「口、目、田」などと難しい漢字が出てきて、合計80字勉強します。どの教科書でも80字習います。習う順番は教科書によって違いますが、ポピーでは教科書の順番通りに勉強できます。

新学習指導要領では、次のようなことが身に付くように指導するとあります。

「第1学年においては、（略）学年別漢字配当表の第1学年に配当されている漢字を読み、漸次書き、文や文章の中で使うこと。」を指導します。

「第2学年においては、（略）第２学年までに配当されている漢字を読むこと。また、第１学年に配当されている漢字を書き、文や文章の中で使うとともに、第２学年に配当されている漢字を漸次書き、文や文章の中で使うこと。」を指導します。（3年生以下も同じ）

 

 

 

≪1年生から教科書に沿って確実に…≫

 

学年別漢字配当数：

1年80字　２年160字　３年200字　４年202字　５年193字　６年191字

小学校合計1,026字

 

 

・「学年別漢字配当表」により学年で学習する漢字は決まっています。目当てははっきりしているので学習しやすいです。

・学年が上がると難しい（画数が多い）漢字が出てきますが、新出漢字の数はそれぞれの学年で190～２００字です（その中には、門・間、首・道、石・岩など似たものや１年生の漢字が書ければ簡単なものもあります）。

・下の学年の漢字学習を基盤にして、次の学年の漢字学習が成り立ちます。学年ごとにきちんと定着させておくことが大切になります。

・「ポピー」本誌の練習問題に取り組み、理解を確かめます。わからないまま次の学年へ繰り越さないようにおうちの方の確認が必要です。

≪読めると書けるは大違いです…≫

・パソコンやスマホに慣れペンを持たないうちに、大人でもいつの間にか漢字が書けなくなります。子どもたちは漢字練習帳に鉛筆でくり返し書き、声を出して覚えます。子どもたちは、読めれば書けると思っていますが、学年が上がると違います。

≪学習指導要領の「漸次」に注意…≫

・「第1学年においては、「学年別漢字配当表の第1学年に配当されている漢字を読み」、第2学年においては、「第２学年までに配当されている漢字を読むこと。」を指導するとありますから、「読める」ようにはなります。

・しかし、第1学年においては、学年別漢字配当表の第1学年に配当されている漢字を「漸次書き」、第2学年においては、「第１学年に配当されている漢字を書き、（略）第２学年に配当されている漢字を漸次書き」とあります。配当された各学年で漢字全てを書けるように指導しますとはなっていないのです。次の学年に持ち越してもいいことに落とし穴がありそうです。（漸次・ぜんじ＝時間の推移とともに変化するさま。だんだん。次第に。）

≪おうちの方とポピーで…≫

・書けるようになるには時間がかかるので、子どもたちの負担軽減のために「漸次」とされています。とはいえ、自然に書けるようにはなりません。誰が、いつ書けるように指導するのかはっきりしないと大変です。

・学年の変わり目で、「後の学年で書けるようにしてくれるはず」「前の学年で書けるようになっているはず」という危険な思い込みには注意が必要です。

・おうちの方と「ポピー」を活用して漢字をしっかり定着させましょう。

（全日本家庭教育研究会　本部講師　荒川　進）