おとずれ11月号をお届けします

 

全日本家庭教育研究会

平成30年11月

 

発達課題の獲得は…

子育てに「抱いて、離して、歩かせろ」という言葉があります。その順序を入れ違えても、飛ばしても、過不足があってもうまくいきません。これは、体や運動機能の発達だけでなく、心理的・社会的な発達に当てはまります。人が生まれてから老いるまでの、乳幼児期、児童期、青年期、成人期、壮年期、老年期の成長にはクリアしていくべき課題(発達課題)があり、順序を踏まないとよい人生が送れないのです。

≪発達課題とは≫

1人1人の資質や特性は異なり、成長には個人差があります。一方、発達の道筋や順序には共通の特徴があります。人間には、年齢に応じた発達段階で習得しなければならない発達課題があります。自分と社会に対して健全に適応するために必要な学習で、健全で幸福な発達には欠かせない課題です。失敗すると後の発達に支障がでるといわれており、発達段階にふさわしい生活や活動を十分に経験し達成したいものです。

≪急がば回れ≫

小学後期は、今までとは比べものにならないほどの知識や技術を学習し、友達との集団生活に適応する時期です。主な発達課題は、勤勉性の獲得です。勤勉性とは、社会に関心を示し、自発的に加わろうとしたり、宿題などの物事を完成させることで周囲から認められたりする学習の力です。頑張って成功した経験は自己有能感を育て、もっと頑張ろうとします。いくら頑張ってもうまくいかず、周囲に認められない経験が積み重なると、自信をなくし劣等感を募らせていきます。それは、友達づくりや学力などにも影響を及ぼします。

≪学力も社会で生きる力も≫

達成感を味わい、自己有能感などを獲得することで、友人関係に強い意味を見出すことができます。そして、その友人関係への評価を強く意識する中学中期の発達課題へと発展することができれば、学級や部活動への所属感・一体感、協力・協調性、自己決定能力と責任感などの課題の獲得が容易になります。クラブ・部活動が奨励されるのは、そこで育つ力が大切であり、様々な葛藤の中で、自らの生き方を模索する時期に入ることになるからです。自分の活躍する居場所のある児童は、きっと楽しく生きがいのある中学校生活を送ることができるでしょう。

≪発達課題と獲得への援助・指導≫

時 期 発達課題 人間関係 獲得する心理、力 達成に必要な援助・指導
幼児後期~小学中期

5~9歳

・自発性

・積極性

 

・不特定な

遊び友達

・担任の先生

・何でもやってみようとする意欲

・知的好奇心、興味

・挑戦心

・体験を通した学習の楽しさ

・友達遊びの楽しさ

・意欲を励まし、賞揚

・成功と失敗のバランス

良い経験とフォロー

・社会生活の初歩的

ルール、善悪のしつけ

・遊びを通した学習

・遊び友達の育成、少人数遊びの勧め

小学後期~中学前期

10~13歳

・勤勉性 ・特定の同性の遊び集団

・先生

・達成の成就感

・学習や関心の拡大

・自分で考えてできるという有効感

・主体的な判断力

・賞揚、励まし、進歩の度合いの明示、競い合い

・目標の具体的設定

・自治的活動の奨励

・集団遊び、運動の奨励

・自己決定体験

(全日本家庭教育研究会 本部講師 荒川 進)

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