おとずれ10月号をお届けします

 

全日本家庭教育研究会

平成30年10月

 

句読点の付け方…

冊子の文を書いていた時の話です。私に、「表題には句点(。)を付けなさい」と言う上司がいました。私は、「そんなのは見たことがありません」と抵抗しました。上司は短期間で転勤しましたので、結論はうやむやになりましたが、鮮明な記憶が残りました。

しばらくして気付いたことがありました。流行のグループ歌手や映画の題名などに句点が付いていることでした。理由は分かりませんが、句点が無い「君の名は」と、ある「君の名は。」では明らかにある方が目新しく感じます。「君の名は」は、1952年にラジオドラマとして流れ、その後映画化されました。「君の名は。」は、2016年に公開されたアニメ映画です。全く違う映画であることが句点1つでわかります。句点で見事に差別化が図れているのです。「モーニング娘。」などの芸名や曲名にも句点が付けられています。そう考えると、わが上司は、文作りの先端を行っていたのかもしれません。しかし、学校の作文や感想文の表題で「夏の思い出。」や児童の氏名「大川秀樹。」などと句点を付けていたら、私は句点を削除するように指導します。ここでは、作文教室のつもりで、句読点の基本を押さえましょう。

≪句読点についての基準≫

絶対正しいという決まりや約束はありません。人により、また、文章を書く力により工夫され、流動的に使われます。国語の教科書は、昭和21年3月、当時の文部省教科書局調査課国語調査室によって作成発表された「区切り符号の使ひ方(句読法)(案)」に準じています。この案は、公用文や学校教育その他でも「参考」にされています。明治39年に定められた「句読法(案)」を基本とし、現代口語文に適するよう大体の基準を定めたものです。その後も現在まで「案」のままで、正式決定されたものではありません。

≪句点(。)について≫

句点は、難しくありません。文章の終わりに付けます。

≪読点(、)について≫

読点の方があいまいで難しいです。文の意味を分かりやすく、読みやすくするために、文中の区切れや間などに打ちます。「二重にして、くびにかける数珠」と「二重にし、てくびにかける数珠」では意味が違ってきます。小学校低学年では、次のことが基本になります。

  • 主語の後につけます。「ぼくは、」や「かえってきたおとうとが、」などです。しかし「ぼくはねむい。」などの短文では付けなくてもいいでしょう。決まりはありませんので、厳密に指導しなくてもいいのです。
  • 文章の区切り(意味の切れ目)に付けます。ここで文の内容が少し変わりますという意味で、読点を付けると読みやすいからです。「日がくれてくらくなったので、ぼくとおとうととお母さんの三人で花火をしました。」などと使います。読点の前後で、文はつながっていますが、文の内容・意味は少し違います。読点があると読みやすいことが分かるでしょう。おうちの方は、「どこで2つの文に分かれるかな?」と聞いてみてください。「ね」が入る所に打つといいよと指導する人もいます(「日がくれてくらくなったので、ぼくとおとうととお母さんの三人で花火をしました。」)。まだ「ね」が入る所もありますが、あくまで目安です。
  • 並列関係にある語句の後(最後の語句を除く)に打ちます。「東京、大阪、名古屋の3大都市は」のように打ちます。
  • 読むときに息継ぎをする所に打ちます。
  • 接続詞の後に打ちます。「しかし、」「または、」などです。

(全日本家庭教育研究会 本部講師 荒川 進)

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